看護部

多角的アプローチ

高齢者の転倒の原因は、足の筋力が弱っているからだと思っていませんか?

足の筋力の低下は大きな要因の一つでありますが、実は筋力UP運動のみでは転倒予防の効果が低いことが明らかになっています。 当院では、身体機能はもちろん、あらゆる因子に目を向け様々な角度から転倒を予防する取り組みを行っております。

転倒予防対策について

定期的に患者様の体組成を測定し筋肉量やBMI、骨量、脚点などのデータを客観的に評価します。 また、運動機能やリスクの程度も定期的に確認しています。

タニタの体組成計(脚部筋肉量点数)

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こちらはタニタの体組成計です。 体脂肪率はもちろん、基礎代謝量、水分量や骨量、筋肉量など詳細な測定が可能です。 脚点(脚部筋肉量点数)は、体重に占める脚の筋肉量の割合をあらわした数値です。理想的とされる値と比較して点数化されます。

  低い やや低い 良い
脚点 50~79点 80~89点 90~150点

ひとりひとりのリスクの程度を評価

* 患者様一人一人のリスクの程度を、各項目ごとに見ていき総合評価をし、点数化します。 この評価表は、厚労省のリスク評価等を参考にして、精神疾患や認知症の患者様に対応できる項目を選択した当院独自のものです。

履物・環境整備

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履物は、脱着しやすいもの、歩きやすいものを患者様の特徴に合わせて選択します。 患者様の歩行器やヒッププロテクター(衝撃吸収パット)などを使用し、転倒時の衝撃を緩和し骨折を予防しています。

また、ベッドから転落する危険性の高い患者様には、ベットの横に衝撃吸収マットを使用しています。

照明や動線への配慮も行っています。

栄養

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サルコペニアという言葉をご存知ですか?

加齢に伴う筋肉量の低下で転倒・骨折・寝たきりなどの一番の原因と考えられています。 サルコペニアは60~70歳で5~13%、80歳を超えると11~50%に及びます。

当院では、管理栄養士と連携し骨折予防強化のため患者様には、ビタミンD・カルシウムを多く摂取してもらっています。

服薬調整

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精神疾患患者様の多くは、向精神薬や睡眠薬などふらつきを起こしやすい薬を服用されています。

ふらつきが目立つ患者様に対しては、医師に相談し薬剤の調整を行います。

運動療法の実施

認知症の方にも理解しやすいように簡単でかつ効果のある運動内容を作業療法士とともに吟味して作成しました。 全体での集団運動は週に2回、個別運動・グループ運動は、各週1回行っています。

  1. 集団運動

    * 「楽しみながら」がモットー!

    集団でリズムにのって体操!内容は簡単で覚えやすい。 でも、筋力・バランス力を考えて作られています。車椅子の患者様も歌いながら参加されます。

  2. 個別運動

    * スタッフが付き添い筋力UP!

    理解力の乏しい患者様や、活動そのものに無関心な患者様などに対し、 個別プログラムを組みより効果的な方向へと誘導しています。

  3. グループ運動

    * スタッフ考案・命名「アルマット」

    歩幅と転倒は密接な関係があります。バランスと歩幅を意識した運動です。 等間隔に書かれた足型の上を歩いてもらいます。歩行の不安定な方に参加してもらいます。

毎月の運動機能を評価

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月に一回、運動機能が変化しているかを確認評価しています。筋力アッップやバランス機能など各項目ごとにチェックし、点数化しています。

はじめは、なかなかできなかった体操もだいぶできるようになりました。